この記事ではコーヒーのニコチン酸 効果についてまとめています。Covid 19の影響で人々の生活様式がすっかり様変わりし、在宅勤務する人が増えるとともに家でコーヒーを飲む機会が増えた人も多いと思います。
この数十年間、栄養学や疫学的な分析が進むにつれ、コーヒー成分による健康効果がますます見直され多数の研究者が著作や論文を発表しています。

高齢化による弊害 | ロコモティブシンドローム
寿命が伸びるのは けっして喜ばしいことばかりではありません。明晰な頭脳と不自由なく動かせる体をどれだけ継続できてこその寿命。
高齢化による健康問題で最も深刻なのが 介助が必要な一歩手前の虚弱状態、フレイル。
高齢化の分岐点と言える60歳は 著しく体力が低下します。とりわけフレイルの入口となる 運動器症候群のロコモ(ロコモティブシンドローム)に悩む人が増えはじめるのは 50代あたりから。

ロコモティブシンドロームとは
人間が健康的に生活するためには 体を支え動かす組織や器官である運動器(骨、関節、筋肉、神経)が健康でなければなりません。
英語で機関車を指す言葉 ‘Locomotive’ には 「運動」という意味もあり、健康の根幹である運動器=ロコモティブに一連の障害をきたす症候を指す言葉として新たに提唱された概念、それがロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)です。

コーヒーのニコチン酸 効果 | 健康寿命の延伸には エネルギー生成が肝要
そもそも健康寿命を延ばすというのは 体を動かすためのエネルギーが常に細胞内で作られていなければならないということです。ガソリンがなければエンジンは動かせないようなもの。

そのエネルギーの鍵となる成分がコーヒーに含まれるニコチン酸(※1)。
(※1)ニコチン酸は タバコのニコチンとは全く違う物質で、ビタミンB3に類する栄養素。

では何故、ニコチン酸がエネルギー生成の鍵となるのか?
簡単に説明すると、ニコチン酸は ヒトが生存するために最も大切なエネルギー生成に深く関わってるということ。
NADと代謝酵素の結合がエネルギーづくりに関与
エネルギーは 細胞内のミトコンドリア内にある複数の代謝酵素が栄養素を分解する過程で生まれます。
その中心物質となるのが ミトコンドリアの中にある補酵素のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)。このNADが代謝酵素と結合すると酵素活性を高めてエネルギーを効率よく生成します。
NADにはもう一つ、細胞にできた傷の修復促進という役割をもってます。

ところがこのNAD、残念ながら加齢とともに減少していきます。NADがなければエネルギーも生み出せなくなり、ロコモやサルコペニア(筋肉の減少)を誘引するというわけです。

では ニコチン酸の役割は? はい、ニコチン酸が体内に取り込まれると、なんとNDAに変化するのです。
つまり、加齢によって減少していくNADは 定期的にニコチン酸を摂取することで補えるということ。
まだまだあるニコチン酸の効能
ニコチン酸には他にも 善玉コレステロールを増やしたり、美容に直結する皮膚や粘膜健康を保つ効果があります。
健康寿命の観点から注目すべきニコチン酸の使用法として医療現場の事例をひとつ紹介します。
NADの先天的不足によって筋無力症(※2)を引き起こした患者に対し、ニコチン酸の投与でNAD濃度を高めた結果、筋肉減少を抑え最終的に筋力を回復したとヘルシンキ大学の研究チームが2020年に発表しています。

(※2)筋無力症(重症筋無力症)とは 全身の筋力が弱くなり疲れやすくなり、眼瞼下垂や複視といった眼疾患を引き起こしやすくなる難病です。
コーヒーによる健康寿命の延伸~まとめ
1日 3~4杯のコーヒーによるニコチン酸摂取によってNAD不足を補い、ミトコンドリア内の酵素活性を高めてエネルギーを生成しておくことで、いつでも体を動かせるようにすることでロコモを予防し健康寿命を延ばす。ということです。
ただし、飲み過ぎには注意してください。過ぎたるは及ばざるが如し。
